本当のオールラウンドボードとは?
僕がネバーサマーに興味を持ったきっかけは、「自分にとっての本当のオールラウンドボード探し」というところからでした。
僕は、ダブルキャンバーのツルツルとした感触の動きと取り回しの良さ、全体で浮ける浮力感が好きで、現状のマジックボードはBurtonのX FVです。このボードが持つ全方向への浮遊感、オーリー時の反発力、タイトなセクションでもトリックをつなげていける取り回しの良さは唯一無二だと感じています。
ただ、急斜面を高速で滑る時や、硫安を撒いてガチガチになった春のパーク、シャバ雪が荒れて夕方ボコボコになった斜面には、エッジが噛まない/ズレるといったエッジバイトの弱点がありました。
そこで、もっとしっかり噛んで攻めれるダブルキャンバーボードはないかと調べているうちに、ネバーサマーが目に止まりました。
ハードなコンディションでもバキバキのカービングをしている動画や、「とにかく噛む」というレビュー、そしてダブル/トリプルキャンバーのモデルと、過度なテイパーの浮力に頼らないボード設計、更にこのご時世においてもツインチップのラインナップがたくさんあるというのを知り、まさに自分がイメージしてたボードがここにあるのではないか?と、興味が高まっていきました。
初めてのNEVER SUMMER
そして22−23シーズンはネバーサマーのメインとなるプロトシリーズやシェイパーシリーズを数種類試乗させて頂けることとなりました。
大まかな感想としては、シェイパーシリーズはパウダーでの気持ち良い浮きを重視して、誰でも楽しく、且つ安定感もしっかりとあるので安心して乗れる作りになっていました。
対して定番のプロトシリーズのラインナップは、ダブルキャンバーロッカーが持つ形状でのみの浮力に抑えられ、エッジバイト、直進安定性、反発のパワーにより優れていました。
Burtonやcapitaに乗り慣れている僕としては、最初このパワー(出力)の大きさに面食らった部分があったので、MOJANEユーザーが定番ラインナップに乗った時には、驚きや違和感を感じるかもしれないです。
ただ、試乗2日目終盤になり、体がネバーサマーに慣れた頃に自分の板に乗った時、安定感と出力の足りなさを感じてしまった自分がいて、改めてネバーサマーが持つパワーの凄さを体験しました。
パワフルでも扱いやすい、1日中乗れるオールラウンド
ネバーサマー最大の特徴は、とてもパワフルなボードであるにも関わらず、扱いやすい点にあると思います。
今まで僕が乗った経験があるボードで言うと、パワフルで安定性のあるボードは総じて硬かったり、張りが強かったり、太かったり…というのが共通項で、扱うには脚力やテクニック、限界スピードの高さが必要でした。また、取り回しの点において難がある印象でした。
しかしネバーサマーには硬い/太いモデルが存在するのですが、不思議と取り回しに難しさを感じることはありませんでした。
これはおそらく、ダブルキャンバーの構造によるものだと思います。
そして、抜群のエッジバイトとダブルキャンバーの動きやすさを兼ね備えているので、ピステンでは荒れた状況でも細かいポジションを気にすることなくボードの身体を預けるだけでオートマチックに深いターンをすることができますし、パウダーやサイドツリーランのような強いエッジプレッシャーを必要としない場面では、ダブルキャンバーの特性を利用して浮力を得たり、小回りを効かせたりとマニュアル的な自由な動きができました。
これはまさしく、北海道ビッグマウンテンスタイルである、朝イチのピステンでのフルカービングと面ツルオープパウダーからのサイドカントリーでのツリーラン、地形を使ったナチュラルでの動きのある遊び、午後からは荒れてきたバーンでも凹凸を拾わずストレスを感じることのない走破性で1日をしっかり楽しむことができる新・真・進・オールラウンドボードが見えてきた気がしました。
フルシーズンを通して活躍するボード
雪が付き始めるシーズン初めで、降雪があまりなく硬めのバーンの時や、パウダーから春のシャバ雪になるまでの3月のアイシーなバーンなど、今まで楽しむことが難しかった時期でさえも、ネバーサマーがあることでシーズンを通してスノーボードが楽しめるようになると思います。
正直、現段階では、ネバーサマーが僕が求めるオールラウンドボードなのか、完全には掴みきれていないので、想像の範囲にはなってしまいますが、規模の大きいスキー場であったり、パワーバランスの合ったビンディングやブーツで乗ることを想像すると、このボードが持つポテンシャルがまだまだ引き出せそうな気もしました。
その新たな世界観も魅力ですし、自分自身も楽しみながら来季も探究していけたらと思っています。
次のステップへ進みたい探求者へ
ネバーサマーは、初級者が簡単に楽しく乗れるようなボードではないですし、モデルによっては当然脚力や経験が必要なモデルもあります。ただ、中上級者で、手持ちのボードに手詰まりを感じていたり「もっと深く楽しみたい」「もっとラクに乗りたい」「もっと多用途に、深いステップに踏み込みたい」と考えている方には、是非オススメしたいです。
現在使用しているボードが、取り回し良く楽に乗れているけれど物足りなさや頼りなさも感じていて、もっとハードな動きとコンディションに対応でき、安定感のあるボードを探しているという方はシェイパーシリーズを。
今はバキバキのボードに乗っているけれど、もっと自由にラクに動かせて、だけど突っ込んでも行ける信頼感は失いたくないという欲張りな方には、定番のインラインを検討して頂けたら間違いないと思います。
22-23はスキー場にも外国人が戻りつつありました。来期は間違いなくコロナ前の賑わいが戻ってくるであろう北海道。
極上のピステンと深いエンドレスパウダーだけに照準を絞ったボード選びというわけにはいかなくなると思います。その時にこのネバーサマーの真価が発揮されるのではないでしょうか。