道具と手入れ

スノーボード2010年代

MOJANE諸橋が選ぶ傑作スノーボードリスト10|2010年代編

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この記事では、2010~2019年に出会ったボードの中から、僕が名作と呼んでいる10モデルをご紹介します。状態の良い中古を見つけたら、手に入れて損はありません!

2010年代に生まれたスノーボード史に残したい名板

キャリアの長いスノーボーダーは、過去に使ったギアのひとつひとつに思い入れがあるものです。

僕自身、今は乗らなくともコレクションしいるボードが多々あります。特に思い入れがあるのは、2010年からの10年間です。

この年代は、スノーボードギアの生産技術が向上したことで、それまでムラがあった完成度が飛躍的に高まりました。2010年代後期に入ると、ボードのルックスは年々洗練され、サスティナビリティ性も加わっていきます。
そのため、近年のボードは、最新=最高という物差しで測るよりも、個々の目的や思考、ライフスタイルに至るまで、自分にフィットする1本を見つけ出す楽しみが加わったと思います。

そんな2010年代を彩った名ボードを振り返っていきましょう。

BURTON SKIP JACK(156) 2015-2016

skipjack burton
発売時の価格93.000円+TAX

2015-2016シーズンにFAMILY TREEからリリースされたショートレングスパウダーボード。
この年に発表されたのはSKIP JACK SURF148と152の2サイズでしたが、2016-2017シーズンのレイトモデル”BACK YARD PROJECT”として待望の156が発表されました。

ショートワイドボードなので、本来なら僕(180cm/76kg)は152を選ぶところですが、リリース当初から「156があったら良さそうだな」と思っていたので、 156 は即買いしてしまいました。実際の乗り味でも、156が長いとは全く感じていません。

SKIP JACK は、フィッシュにショートカービング要素を持たせたパウダーボードで、ノーズからテールに向かって徐々に硬くなっていくシームレスなフレックスが特徴的。この感触は、BURTONが誇る工場”CRAIGS”でこそ生まれたものだと思います。

ノーズロッカーは角度が寝ていて、タイトなツリーランも得意です。リリース当時はBEN FURGASONがこのボードでパークライディングをする映像もありました。ジャンプするパウダーボード、というイメージがあって格好良かったです。北海道ならぴっぷスキー場のストロベリーコースがドンピシャ!

また、BURTONの顔であるFAMILY TREEのデザイナーに、日本人のサーフボードシェイパーTAKUYA YOSHIKAWAさんが起用された事は、興奮する出来事でした。
相性の良いビンディングは、断然X ESTです。

YES NOW BOARD THE 420 (148,152) 2013-2015年 

発売時の価格7万円台

 2010年代前半のMOJANEでトップセールスを誇ったモデルがYES NOW BOARD THE 420です。
元々ショートファットボードは、コアなスノーボードブランドから生まれた形状で、一部のパウダーフリークの間で楽しまれていましたが、THE420の登場によってメジャーシーンでの認知度が一気に高まりました。

サイズ展開は148と152。152はオールマイティー性があり、大きなゲレンデ向きです。ただ148を大きくしただけではなく、最適なグレーディングが行われているように思います。

THE420は、短いながら、たっぷりとした浮力が感じられ、通常のボードならボトムを走らざる得ない小さな沢を縦横無尽に走り抜けます。

リリース前にYES NOW BOARD クルーのJP SOLBERG君が北海道のニセコモイワでTHE420をテストしている姿を見かけましたが、なるほど!北海道のような斜度が無い地形で遊ぶボードか!と納得したことを鮮明に覚えています。富良野スキー場の連絡通路にある小さな沢にも最適です。

MOJANEで販売していたのはたったの3シーズンでしたが、この期間にリリースされたTHE 420は手放したくないボードの一つです。もしも、テールがもう少しポイントテールになっていたらビジュアルはパーフェクトだったと思いますが、このラウンドーテールがTHE 420の特徴です。UNION LTD2018-2019モデルとの相性はバッチリです。  

Fjell Snowboards MT1542 (160) 

定価¥94.000+TAX

僕はディレクショナルボードが好きで、スワローテールやフィッシュテール以外の一風変わったボードを見かけると、つい興味を持ってしまいます。
ノルウェーのスノーボードブランドFjell Snowboardsの定番モデル MT1542は、この見た目からは想像がつかないほどフリースタイル。回転性に優れ、北海道の山を生き生きと遊ぶスノーボードです。道内のスノーボードトリップに1本しかボードを持って行けないとしたら、迷わずこのボードとUNION FALCORのセットアップを選びます。

シンプルでスタイリッシュなルックスのボードは年々増えていますが、機能性を備えているボードはごくわずか。その中で、Fjellのボード作りを見ると、彼らが心からスノーボードを愛していることが伝わってきます。Fjell代表Kjetilさんは、コアとなる木材やエッジの素材、トップシートの塗料に至るまでの全てに気を配り、上質で贅沢な乗り心地を追求しています。シンプルなビジュアルだけでは満足出来ない本物志向の人に、自信を持ってお勧めできるボードです。

BURTON SPEED DATE(161) 2018-2019

発売時の価格¥92.000+TAX

ここ最近のニューボードの中で、特にインパクトがあったのが2018-2019シーズンのSPEED DATEです。試乗した時点では、ガンガン遊べる挑戦的なイメージを持っていましたが、このボードを手放せなくなった理由は、身体が慣れていないシーズン始めでも、ボードの高い操作性によって楽しく遊べた、という実体験にあります。

どんなにスノーボードが好きでも、ライフスタイルの変化や仕事のスケジュールによってなかなか山に行けないシーズンがあるものです。やっと行けた1回のスノーボード、SPEED DATEはそんな時間を良い一日にしてくれる板だと確信しています。

僕は、このボードによってナロースタンスにも気づく事が出来ました。普段56cm程度のスタンス幅をとっている僕ですが、53cmでSPEED DATEに乗る機会があり、違和感なく乗れたことに驚きました。徐々にスタンスは広げていきましたが、色々なギアの組み合わせを試すように、スタンスも固定概念を持たずに見直していいのかもしれないと気付かされました。

もしかすると、シーズン始めは狭めのスタンスが吉?SPEED DATEだったから?など、スノーボードに向き合う為の新たな疑問が生まれたボードです。同じシーズンにレイトモデルでリリースされたSPEED DATE 156Wは、いずれ必ずゲットします。

BURTON CUSTOM X Flying V 2016-2017

発売時の価格¥93.000+TAX 

リリース初年度、2016-2017シーズンに向けた試乗会で乗って以来お気に入りのボードです。オーリーは跳ねる、エッジは噛む、浮力もあるし、よく回る。更に、張りもあるので、ハイスピードでもバタつかないロッカー。BURTONのダブルキャンバーは、Custom X Flying Vの為にあると言っても大げさではありません。

フルセットバックすればバラクーダに早変わり。僕はハードなCUSTOM Xに果敢に挑んできた世代ですが、”乗りやすいCUSTOM X”という点でも広く親しまれるボードだと思います。

2008シーズン、憧れで手を出したCUSTOM X (当時はキャンバーしかありませんでした)に乗って怪我を負い、泣く泣くボードを手放した、という苦い思い出があります。CUSTOM Xの強さに体が付いて行けなかったのが原因です。それでもCUSTOM Xへの憧れやリベンジしたい気持ちは常に持っていました。

その後、ダブルキャンバーという新形状のボードが徐々に出回り始め、2016-2017シーズンにダブルキャンバーを搭載したCUSTOM X Flying Vが登場。初見では、一体誰が乗るんだ?と斜めから見ていましたが、試乗してみると気持ちは一転。ルーズなのにエッジバイトがある。ピーキーなレスポンスではないのでミスも許され、ハイスピードでもリカバリーが効く。正統派のボードからちょっと脱線したコンセプトで、一見中途半端なボードなのですが、ポップ感があり、オーリーが20%アップ。とにかく容易に、楽しくスノーボードができてしまうボードです。この楽しさ、気楽さ、出来た感を知ってしまうと、無理なボード選びで怪我をしたかつての自分に「虚勢を張って挑戦するだけがスノーボードではない」と戒めたくなります。スノーボードの新時代を感じたシーズンです。

因みに、CUSTOM X CAMBERも言わずと知れた名機です。CAMBERで印象的な年代は2008-2009。今も常に挑戦したいボードです。

BURTON MOD FISH(156) 2015-2016

発売時の価格¥80000+TAX(推定)

2015-2016シーズン、SKIP JACKと同じタイミングでリリースされたFAMILY TREEのテリエ・メイドです。
FISHをモディファイした=改造魚という意味です。

基本的にはパウダーメインのフリーライディングボードで、短めのレングスでも浮力があり、ツリーでの操作性も良好。MOD FISHのベンドはフラットトップにラウンドテールで、よりフリースタイル度の高まったFISH、という構造です。
テールには2段階ロッカーが仕込まれていて、壁遊びでバッシバシテールを蹴り込むには最高の抜け感です。また、オーリーもかけられます。

その頃の僕は、「MODEN COLLECTIVE」というサーフムービーに夢中だったので、プロサーファーのDANE REYNOLDSの動きをイメージしながら乗って遊んでいましたが、カービングに対する意識が低かったので、今乗り直すとまた違った魅力が感じられるだろうと思います。復活を願っているボードの一つです。

因みに、テリエが北海道に156を持ち込んだ際、「もっと長いボードを持って来ればよかった」と話したそうで、次シーズンには161がリリースされました。

YES NOW BOARD PICK YOUR LINE(161)2011-2012

発売時の価格¥95000+TAX (推定)

僕が大好きなスノーボーダーDCPが、BURTONを離れYES NOW BOARDを立ち上げたのが2008年。その後、発表したDCPのセルフプロデュース・プロモデルがPICK YOUR LINEです。ナチュラルでのジャンプや、上から下まで直滑降するようなDCPのライディングスタイルを反映させたボードで、そのスタイルに憧れていた僕は当然即買いでした。

とても硬いボードを想像していましたが十分にプレスがかけられる硬さです。足元はCAM ROCKというキャンバーで、足から外へ反り上がるロッカーがブレンドされています。一般的なディレクショナルボードはセットバックで乗る事が多いですが、あえて前方へポジションをとることで浮力を得る”セットフロント”を広めたボードでもあります。テールがリフトしていく浮力感はこのボードが初めてで、インパクトがありました。

ボッコボコに荒れたパウダーをものともしない、安定感と走破性、イメージしていたラインにたどり着けるような、まさにPICK YOUR LINE。このボードでぴっぷスキー場に行きまくっていたのが懐かしいです。

PICK YOUR LINE以降、僕はテイパードされたロッカーベンドのスノーボードを、セットフロントでも試すようになりました。

SLASH by GIGI   STRAIGHT(163) 2013-2014

Interview by TAKEHIRO

1998年、キングピンプロダクションから発表されたビデオ「デストロイヤー」でセンセーショナルなデビューを果たしたGIGI RUF。
華奢な体格で仕掛けるダイナミックなビッグジャンプと、フワリと繊細な着地!スノーボーダーなら誰もが憧れるGIGI のライディングを、VHSが擦り切れるまで観ていました。

2010シーズン頃、BURTON TEAM UNINCからVOLCOMへと移籍し、業界を騒がせました。そんなGIGIが作るスノーボード、SLASH by GIGIから2013-2014年にリリースされた奇想天外なボードSTRAIGHTを覚えていますか?
テールがノーズよりも太い、という謎のボードです。PICK YOUR LINEのようなテールリフト、GIGIがそれと同じ効果を狙っていたかどうがは定かではありませんが、STRAIGHTの頃のGIGIは、それ以前(マッシュをぽんぽん飛んでいた)とは違い、DCPのように急斜面を直滑降するスタイルでした。

もしかすると、究極の急斜面ではテールに面積が大きくなければいけないほど後ろ乗りのスノーボードなのかもしれません。現行モデルをチェックすると、いつしかテールは細くなっているので、当時のモデルは実験的スペックだったのかもしれません。

DCPも、テールの荷重が必要だった為にPYLをセットフロントで乗っていた可能性も考えられます。北海道のゲレンデでは使い道が無かったボードですが、斬新で、僕に様々なアイディアをくれたという意味で記憶に残る1本です。GIGI RUFは2022年現在も現役バリバリです。

BURTON TRICK PONY 2014-2015

発売時の価格84000円(推定)+TAX

FAMILY TREEで初めてのツインチップモデル、トリック・ポニーは攻撃的なパウダーボードです。ハイエンドモデルにフラットトップが搭載されたのも、このボードが初だった気がします。モデル自体は2014~2017シーズンまで続き、インラインの仲間入りを果たしましたが、最もインパクトがあったのは、やはり初号機です。

ジャンパー・ケーブルハイボルテージ、テールとノーズにYの字に走る”カーボンビーム”により、フラットトップにも関わらずハイレスポンスなオーリーを可能にしました。

トリック・ポニーはJOHN JACKSONがFORUMからBURTONに移籍後、第一弾のプロモデルだったと記憶しています。当時のプロモーションでは、ユシ・オクサネンとジョン・ジャクソンの共同モデルとされていましたが、僕は断固「ジョンの伝説のプロモデル」だと思っています。

ジョン・ジャクソンが所属していたFORUMは、その頃BURTONの傘下にありました。
BURTONが一軍なら、FORUMはその一軍を脅かす精鋭部隊、その中でジョン・ジャクソンは圧倒的な人気と勢いがありました。

精鋭部隊から一軍へと昇格した例は、ジョン・ジャクソンただひとり。BURTONは広告でも彼を強く打ち出し、まるでブランドの未来を託しているようでした。そんなBURTONの期待に応える様に、圧巻のビッグジャンプでスノーボーダーを魅了したジョンでしたが、移籍後すぐに大怪我を負い、契約は解除となってしまいます。
結果が全てのプロの世界、BURTONは戦線離脱を許しませんでした。僕はBURTONでのJOHN JACKSONをもっと見ていたかった!

当時と変わらない漢なスタイルを見せているジョンの完全復活を僕は今も信じています。

BURTON FLIGHT ATTENDANT 2014-2015

BURTON FLIGHT ATTENDANT 2014-2015
発売時の価格84000円+TAX 

2014-2015シーズン、トリックポニーと同時にリリースされたFLIGHT ATTENDANTは、みんな大好きニコラス・ミュラーによるプロモデルです。その頃は、今で言うディレクショナル・キャンバーをBURTONはS-ROCKERと呼んでいて、モデルによってロッカー具合が大きく異なりました。
FLIGHT ATTENDANTはキャンバーが強く、通常のキャンバーボードの様にロッカーの範囲が狭く、攻撃的なボードでした。

2019年現在、FLIGHT ATTENDANTは本国アメリカで最も販売台数が多いBURTONボードとして記録されています。人気の理由は、CUSTOMよりも浮力がありアグレッシブだということ。キャンバーベースに長いノーズ、流行を先取りしたノーズとテールのスクエア・デザイン。2019のCUSTOMやX, プロセスも似た形状です。また、バランス・フリーライド機能により、スイッチも違和感なく乗れてしまいます。不整地で必要な要素を押さえつつ、パウダーに寄り過ぎない。BURTONのテクノロジーがしっかり感じられるボードです。

圧倒的な存在感でスノーボード界を先導するニコラスが、NIKE SBと契約したのは2011-2012シーズン。BURTONは他社との大型契約を認めず、FLIGHT ATTENDANTを最後にニコラスはBURTONを離れる結果となりました。

この置き土産がBURTON最高セールスを記録したこと。また、2022年を迎えた今も、BURTONの最新モデルにはFLIGHT ATTENDANTの系譜が受け継がれていること。ニコラスの功績はあまりにも大きいことが伺えます。

板選びで大切にしていること

skipjack burton

僕がスノーボードを始めたのは1995年、中学生でした。
若い頃は怪我が絶えず、その恐怖心から早々にジャンプを諦めましたが、様々なライディングスタイルに触れる中で「派手なアクションをしなくても、スノーボードは滑っているだけで楽しい」という考えに至りました。

そんな僕がスノーボードを選ぶ時に注目しているのは、「そのボードがどんな経緯で誕生したのか」というバックグラウンド。コンセプト、サイズスペック、製造工場、僕たちの手元に届くまでの過程にある全てのストーリーが、興味の対象です。

雪や身体のコンディション、ライディングスタイル、技術レベル…様々な要因によって、乗り味には個人差が生じます。そんなスノーボードについて誰かと語り合ったり、感想を共有しようとしたとき、ボードのバックグラウンドがいかに大切であるかに気付いたからです。

また、ストーリーが気に入れば、そのモデルに対しての思い入れや信頼感は自ずと強くなります。そんなギアでスノーボードに行くとなれば、ワクワクは倍増ですよね。

因みに今、僕が目指しているのは、荒れたパウダーでターンや180を織り交ぜながらのスピーディーなフリーライディング!一つ一つの動作を区切らず、繋げていくような滑りです。

まとめ

今回は、2010年からの10シーズンの中で、皆さんに知ってもらいたい10本のボードをご紹介しました。

サブボードをお探しの方や、中古・新古ボードで予算を抑えたい方、北海道旅行用のボード探しなど、このリストがスノーボードサーチに役立つことを願っています。

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この記事を書いた人

MORO(アドバイザー)

2016年3月、前オーナーからMOJANEを受け継いで再スタートを切る。小学生から60代までのユーザーに支えられながら、今日も店づくりに奮闘中。

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