道具と手入れ

ネバーサマーレビュートリプルキャンバー

平山 雅一のECLIPSEレビュー / 25-26 NEVER SUMMER PROTO Type3 ECLIPSE

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オールラウンドボードってこういうことだよね!

高速安定性×オートクルーズ機能

エッジの性能は言うまでもなくネバーサマークオリティ(太鼓判!)ですが、高速安定性があるのにボード自体はとても扱いやすいことに驚きました。

スピード域が上がってもバタつかず、常に同じ感覚でいられる、車で言うオートクルーズ機能がついているかのような快適さです。

板に身を任せて滑るタイプの人にとって、どんな場所、どんなスピードでも良い相棒になってくれると思います。

新搭載のカーボンで扱いやすく軽快に

今までのネバーサマーはどのボードも、エッジング、安定性、レスポンスに長けていましたが、それと引き換えにフレックス、トーション、重量といったMADE IN USAのパワフルな部分が、我々日本人にとっては少しネックになり得る部分でした。

しかしECLIPSE は、ノーズ・テール・センターに絶妙な配置でカーボンが搭載されていて、これにより少ない力で捻じれやタメが作れ、扱いやすさが段違いに増していました。

カタログ上では、僕が乗った156cmのフレックス表記は「6」で、センターのウェストが25.9cmです。通常の日本人の感覚だとワイド気味で固めなボードにあたると思うのですが、太さやワイド特有の動きの緩慢さを感じさせず、ノーズ・テールのタメにもしんどさがなく、自然にできる感覚で、重さも感じさせない軽快さでした。

このカーボンシステムは、日本人にとって今後のネバーサマーのボード選びの主軸となると言っても過言ではないレベルのクオリティでした。

FLYING Vを彷彿させる浮力

そして、もう一つの驚きは、パウダーの浮遊感でした。

この形状のボードにパウダーでの気持ち良さは期待していませんでしたが、後ろ足に荷重してノーズを上げると、センターのカーボン部分より前側が折れるように曲がり持ち上がり、心地良い浮力がありました。後ろ足部はトリプルキャンバー特有の操作性が感じられ、感覚としては僕が好きなBURTON FLYING Vのような浮き感でした。

ツリーランのような込み入った場所でのパウダー俊敏性を試す機会は、残念ながら無かったのですが、他のレビュアーの感想を聞く限り、良い評価だったようです。

デメリットは…

デメリットや弱点らしい部分が見当たらないボードなのですが、レビュアーとしてあえて難点を探すなら、スイッチパウダーでの浮力と、緩斜面/低速域での不足感が挙げられます。

前述の「板に身を任せて滑る」スタイルとは反対に、自分主導でガシガシ踏み込んで攻めていくようなスタイルの人にとっては、緩斜面や低速域で出力を上げた滑りをしたくても、乗りやす過ぎるために、物足りなく感じてしまうかもしれません。

ただ、弱点になる程のものでもなく、スイッチでの浮力を求める人はほとんどいないと思うので、現状、僕が乗ってきたボードの中で最も隙のないボード、1番オールラウンドボードに近いボード(僕はジブができないので除く)だと思います。

実際に乗ると、何がいいのか分からないくらいスムースに乗れてしまうかもしれませんが、それが仕上がりの高さの証です。

お手持ちのボードと乗り比べたり、自分にとって少し難しいコンディションで試して頂けると、その凄さが浮き彫りになるだろうと思います。

ジャンルやスタイルに関係なく、多くの皆さんに体験していただきたい来季激PUSHの1本です!

ECRIPSEとNOKHUの比較

昨年オールラウンドボードとして絶賛したNOKHUとの比較・違いとしては

①高速域での安定性

これが一番の違いであり、進化した部分だと思うのですが、カーボンの関係と形状の違いもあって、この点はかなりECRIPSEに軍配が上がると思います。

②ターンの質

ターンのテイストは、それぞれに特徴があります。

ECRIPSEがスムースで優雅なターンが心地良い印象だったのに対して、NOHKUはもう少し細かく動きを入れたり、自分のリズムでマニュアル操作的にターン弧を描くのが楽しい印象でした。

トラディショナルトリプル(ECRIPSE)とハイブリットトリプル(NOHKU)。各々の形状の特徴が、そのまま動きに現れているように感じます。車に例えるとオートマ(ECRIPSE)と、マニュアル(NOHKU)のような違いです。

これは前述した”スタイルの違い”によっても、好みが分かれると思います。

③より適したフィールド

ECRIPSEは全体的に綺麗で広いバーン、圧雪でのカービング、バンクやコブ、壁でのリッピングなど、整った・整える滑りに最適。

対してNOHKUはナチュラルテレインを中心に、ツリーランやマッシュの攻略、、壁では当て込むというよりはプレスしたり舐めったりといった、遊びのある滑りがしっくりきました。自由で野性味のある滑りに適していると感じます。

もちろん、どちらも完成度の高いオールラウンドボードなので、NOHKUが綺麗なバーンでのカービングや壁でのリッピングが苦手、エクリプスは遊びが苦手、という訳ではありません。より、細分化して考えるなら、ということです。

④総合評価をあえて数値化

レビューとしてはチープな表現になってしまうのですが、端的に分かりやすく数値で表してみます。一般的な「1本でなんでもできる」と謳われているオールラウンドボードが僕の感覚で50-75点(滑りのジャンルを考慮した幅)に収まっているとすると、NOHKUは70-80点、ECRIPSEは75-90点といったところです。

NOHKUに比べて、より相対するジャンルにも対応でき、得意分野にも突出していて、、カバーできるレンジが広く乗りやすい印象でした。


平山雅一 (Masaichi Hirayama)174㎝/65㎏/Regular

試乗ボード:ECLIPSE 156 / 161X

使用バイン: UNION FALCORE

インパクト 9 / コスパ 7 / グラフィックス 2 / オリジナリティ 新しい / 総合評価 気に入った

連想するモデル:なし!(今までのボードとは発想自体が違うので)

滑走距離:ALL 斜度:急~中斜面 スピード域:ALL

ピステン◎ パウダー ◎ ツリーラン □ 壁 〇 パーク□ ジャンプ□ バンク〇 グラトリ□ スイッチ□フリーラン◎ カービング◎

このボードで乗りたい場所:広くて斜度のあるバーン(ゲレパウ/圧雪問わず)

ビンディングとの相性:NOW IPOと好相性だった

どんな人に合うボード?どんな人でも合ってしまうが、シーズン通して1本でオールジャンルやりたい人。

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この記事を書いた人

MORO(アドバイザー)

2016年3月、前オーナーからMOJANEを受け継ぎ再スタート。遊びに貪欲なユーザーに支えられながら、今日もお店に立っています。

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